親知らずは周囲の歯や口腔環境に悪影響を及ぼしてしまうことが多く、抜歯を余儀なくされるケースがよくあります。

そうなるとやはり気になるのが、抜歯にかかる費用や抜歯後の痛みについてです。特に、抜歯後の痛みについては不安に感じている方が多いことでしょう。

痛みの程度は、親知らずの生え方によって変わってくるものです。

本記事では、親知らずの抜歯について費用・痛み・放置するリスクなどをご紹介します。生え方の種類についても解説しますので、ご自身の歯の状態と見比べてみてください。

親知らずには、その生え方によって種類が分類されます。この種類によって抜歯の難易度・費用・痛みが変わってくるため、しっかりと状態を確認しておくことが大切です。

これからご紹介する3つの親知らずの種類は、抜歯が必要になるケースが多いものです。担当の医師と相談して、適切な対処をするようにしてください。

半埋伏智歯とは、親知らずの頭が少しだけ歯ぐきから見えているもののことをいいます。正常な親知らずのようにしっかりと生えきっていないのは、生えてくる角度が斜めになってしまっていることに要因があります。

この種類の親知らずは、歯ブラシの毛先が歯に届きにくいため歯磨きが難しく、手前の歯とのあいだに食べカスも詰まりやすいために歯周病・虫歯の原因になってしまいがちです。

親知らず自体に影響はなくても、周囲の歯に悪影響を及ぼすこともあり、口腔環境を健康に保つためにも半埋伏智歯は抜歯を勧められるケースが多くあります。

完全埋伏智歯とは、親知らずが完全に歯肉の下に埋まってしまっている状態です。目視で確認はできません。そのため、主に歯医者さんでレントゲンを撮ることで発覚します。

完全埋伏智歯は自覚症状がほとんどありません。そのため、気づかぬ間に骨が溶けてしまったり腫瘍になってしまったりすることがあります。

顎の関節に影響を及ぼすこともあり、そのようなときは早急に抜歯しなければなりません。

完全埋伏智歯は抜歯の難易度が高く、場合によっては入院が必要なケースもあります。クリニックは慎重に選びましょう。

水平埋状智歯とは、歯茎に対して水平に親知らずが生えてしまっている状態です。

痛み・顎関節症・歯並びの悪化など様々な自覚症状を引き起こしやすく、抜歯することも多いです。

腫れや痛みを感じたら、すぐにクリニックを受診しましょう。

親知らずの抜歯は、基本的に保険が適用できます。そのため、3割負担になることがほとんどです。

別途痛み止め薬や抗菌薬などが処方される場合がありますが、ここでは抜歯自体にかかる費用をご紹介します。

親知らずが歯茎の中に埋まってしまっている完全埋伏智歯・水平埋状智歯は、手術が難しいため高額になりやすいです。費用はおよそ4,000円になります。

親知らずが4本とも骨性完全埋伏歯であれば、合計16,000円程度の費用が必要になると思っておくと良いでしょう。

ただ場合によっては、入院が必要になるケースもあり、その場合はより費用がかかります。

医師に求められる技術力も高くなるため、対応できないクリニックもあるかもしれません。事前に担当医師に確認するようにしましょう。

難抜歯は、いわゆる半埋伏智歯(歯ぐきから少しだけ親知らずが出ている)の抜歯がそれにあたります。難抜歯は骨性完全埋伏歯ほどではありませんが、骨を削らなければならないケースがあります。費用はおよそ3,000円です。

普通抜歯は、特に難しい処置をせずとも抜けるケースが当てはまります。難しい手術ではないため、費用はおよそ2,000円であることが多いです。

親知らずを抜歯するとなると、やはり痛みがあるのかが心配になりますよね？

特に親知らずが骨に埋まってしまっている場合や斜めに生えてしまっている場合には、歯ぐきの切開が必要となるのですが、歯ぐきにメスが入るとなると恐ろしさを感じてしまいます。

しかしご安心ください。抜歯中は麻酔を使用するため、痛みを感じることはほとんどありません。

手術の前に感覚が鈍っていることを確認してから行うため、麻酔が効いていないうちに抜歯が始まってしまった…なんて事態も起きません。ご安心ください。

ただ、抜歯後に麻酔が切れてからはどうしても痛みが生じてしまいます。麻酔の効き目は個人差もありますが、だいたい２～３時間でなくなります。その後、1時間後を目安に少しずつ痛みが出てきやすいのです。

もちろん痛み止め薬は処方されますので、用法用量を守りつつ適宜服用して痛みを軽減していただきます。痛みが完全に消えるまで、1週間程度かかることが多いです。

また、骨を削ったり歯ぐきを切開したりした場合には、頬が腫れてしまうこともあります。

内出血が起きて青みが出てしまうこともあるため、親知らずを抜歯する際はスケジュールを調整しておくようにしましょう。抜歯後2〜3日はゆっくり安静に過ごせるようなお休みがあった方が良いかもしれません。

普通抜歯の場合には、比較的痛みも少ないことが多いです。症例に応じて、過ごし方に違いが出てきますので、気になる際は担当の医師に相談すると良いでしょう。

術後、強い痛みがある場合には、速やかに担当医師に報告するようにしてください。場合によってはドライソケットや感染症の可能性がありますあります。

親知らずを放置していると、様々なリスクが生じます。特に半埋伏智歯(頭だけ生えてきている)・完全埋伏智歯(歯ぐきの中に埋まっている)・水平埋状智歯(横に生えてきている)の場合には、すぐに抜歯した方が良いことが多いです。

親知らずがあることがわかっている場合には、きちんとクリニックを受診して、自分の親知らずがどのような状態なのか確認しておくことをおすすめします。

それでは、親知らずを放置するリスクについて確認していきましょう。

親知らずの生え方に問題がある場合、細菌感染や炎症を起こして痛みや腫れが出てくることがあります。

「智歯周囲炎(ちしししゅうえん)」と呼ばれる病気もあり、親知らずの周囲で最悪の場合には顎の骨を溶かすまで進行してしまうこともあるほどです。

こうなってしまえば、日常生活に支障をきたしてしまいます。

また、親知らずは最も奥にある歯です。奥歯はただでさえ磨き残しが多くなりやすい部分ですが、生え方に問題があればさらに歯磨きが難しくなってしまいます。

磨き残しはやがてプラークとなり、歯周病・虫歯の原因へとなるでしょう。歯による痛みは自分しかわかりません。軽視せず、ひどくなる前に適切な対処をしましょう。

親知らずが横や斜めに生えてきてしまっていると、手前の歯を押し出してしまうことがあります。

手前の歯が押し出されると、それがそのままさらに手前の歯にも力が加わっていき、歯全体に影響が及ぶことで歯並びが悪くなります。

そのため歯の矯正をする場合には、たとえ親知らずが正常に機能していて他の歯に悪影響を与えていなくても、抜歯することが多いです。

特に顎のサイズと歯のサイズが合っていないときには、歯並びが悪くなりやすい傾向にあります。担当医師と相談の上、抜歯が必要か検討すると良いでしょう。

親知らず自体が虫歯にならなくても、手前の歯に悪影響を及ぼすこともあります。例えば斜めに生えている親知らずの場合、通常よりも手前の歯との隙間が多くなりやすいです。

そうなると歯磨きが難しくなります。様々な角度からブラシを入れなければならず、磨き残しが出やすくなってしまうでしょう。

こうしてプラークが溜まっていくと、虫歯や歯周病になってしまいます。放置していれば、最悪の場合その手前の歯も抜歯しなければならなくなるかもしれません。

早めに対処することが非常に大切です。

歯磨きのときには、少し磨き方を工夫しないと奥のほうに生えている親知らずをしっかり磨くことは難しいでしょう。奥のほうまでブラシを入れやすくするためには、ヘッド部分が薄くて小さいものを選びます。
歯ブラシを奥のほうに入れるときは頬の力を抜いたほうが頬を引っぱりやすくなり、斜めの角度からでも歯ブラシをお口の中に入れやすくなります。
この歯ブラシで親知らずも含めすべての歯を磨いたあとは、タフトブラシで親知らずだけを仕上げ磨きしましょう。タフトブラシとは毛の部分は小さく、先端にいくにつれて細くなっている歯ブラシです。
このタフトブラシをペングリップ方式で持ち、歯の並びに対して斜め４５度の角度で、ブラシの毛先がしっかり親知らずに当たるように入れます。 そして、親知らずの噛む面・一つ手前の歯との境目・親知らずの奥側の面に毛先が当たるようにして小刻みに動かします。
しかし、もし斜めに生えている親知らずであるならば、一つ手前の歯との隙間に汚れが溜まりやすくなってしまうでしょう。
そうした場合は、普通の歯ブラシやタフトブラシだけでは毛先がその隙間の中にまで届きません。
そういったときに使えるのがY字フロスです。
Y字フロスは糸状タイプの指にくくりつけるものとは違い、持ち手があるため奥の歯にも差しこみやすい・片手で使えるので手鏡を見ながら使いやすいというメリットがあります。フロスを手前の歯との間に差しこみ前後に動かすことで、隙間の汚れをかきだすことができるのです。
いつもの歯磨きに比べて手間も時間も多くかかってしまうかもしれませんが、たとえ抜歯をすることが決まっている親知らずであろうとも他の歯や歯ぐきへの悪影響を及ぼさないように、抜歯当日まではしっかりケアしてあげることが大切です。

親知らずは、まずはその歯の状態を正確に把握することが大切です。ご自身の親知らずの状態を知りたい場合には、ぜひ岩槻ほんまる歯科医院にお越しください。

岩槻駅から徒歩20分ほどにあります。

20年もの間、様々な患者様の口内トラブルと向き合ってきた実績があるので、安心してご相談いただければと思います。ご来院をお待ちしております。