半埋伏智歯
半埋伏智歯とは、親知らずの頭が少しだけ歯ぐきから見えているもののことをいいます。正常な親知らずのようにしっかりと生えきっていないのは、生えてくる角度が斜めになってしまっていることに要因があります。
この種類の親知らずは、歯ブラシの毛先が歯に届きにくいため歯磨きが難しく、手前の歯とのあいだに食べカスも詰まりやすいために歯周病・虫歯の原因になってしまいがちです。
親知らず自体に影響はなくても、周囲の歯に悪影響を及ぼすこともあり、口腔環境を健康に保つためにも半埋伏智歯は抜歯を勧められるケースが多くあります。
完全埋伏智歯
完全埋伏智歯とは、親知らずが完全に歯肉の下に埋まってしまっている状態です。目視で確認はできません。そのため、主に歯医者さんでレントゲンを撮ることで発覚します。
完全埋伏智歯は自覚症状がほとんどありません。そのため、気づかぬ間に骨が溶けてしまったり腫瘍になってしまったりすることがあります。
顎の関節に影響を及ぼすこともあり、そのようなときは早急に抜歯しなければなりません。
完全埋伏智歯は抜歯の難易度が高く、場合によっては入院が必要なケースもあります。クリニックは慎重に選びましょう。
水平埋状智歯
水平埋状智歯とは、歯茎に対して水平に親知らずが生えてしまっている状態です。
痛み・顎関節症・歯並びの悪化など様々な自覚症状を引き起こしやすく、抜歯することも多いです。
腫れや痛みを感じたら、すぐにクリニックを受診しましょう。
骨性完全埋伏歯
親知らずが歯茎の中に埋まってしまっている完全埋伏智歯・水平埋状智歯は、手術が難しいため高額になりやすいです。費用はおよそ4,000円になります。
親知らずが4本とも骨性完全埋伏歯であれば、合計16,000円程度の費用が必要になると思っておくと良いでしょう。
ただ場合によっては、入院が必要になるケースもあり、その場合はより費用がかかります。
医師に求められる技術力も高くなるため、対応できないクリニックもあるかもしれません。事前に担当医師に確認するようにしましょう。
難抜歯
難抜歯は、いわゆる半埋伏智歯(歯ぐきから少しだけ親知らずが出ている)の抜歯がそれにあたります。難抜歯は骨性完全埋伏歯ほどではありませんが、骨を削らなければならないケースがあります。費用はおよそ3,000円です。
普通抜歯
普通抜歯は、特に難しい処置をせずとも抜けるケースが当てはまります。難しい手術ではないため、費用はおよそ2,000円であることが多いです。
痛みや腫れが出てくる
親知らずの生え方に問題がある場合、細菌感染や炎症を起こして痛みや腫れが出てくることがあります。
「智歯周囲炎(ちしししゅうえん)」と呼ばれる病気もあり、親知らずの周囲で最悪の場合には顎の骨を溶かすまで進行してしまうこともあるほどです。
こうなってしまえば、日常生活に支障をきたしてしまいます。
また、親知らずは最も奥にある歯です。奥歯はただでさえ磨き残しが多くなりやすい部分ですが、生え方に問題があればさらに歯磨きが難しくなってしまいます。
磨き残しはやがてプラークとなり、歯周病・虫歯の原因へとなるでしょう。歯による痛みは自分しかわかりません。軽視せず、ひどくなる前に適切な対処をしましょう。
歯並びが悪くなる
親知らずが横や斜めに生えてきてしまっていると、手前の歯を押し出してしまうことがあります。
手前の歯が押し出されると、それがそのままさらに手前の歯にも力が加わっていき、歯全体に影響が及ぶことで歯並びが悪くなります。
そのため歯の矯正をする場合には、たとえ親知らずが正常に機能していて他の歯に悪影響を与えていなくても、抜歯することが多いです。
特に顎のサイズと歯のサイズが合っていないときには、歯並びが悪くなりやすい傾向にあります。担当医師と相談の上、抜歯が必要か検討すると良いでしょう。
手前の歯が虫歯になりやすい
親知らず自体が虫歯にならなくても、手前の歯に悪影響を及ぼすこともあります。例えば斜めに生えている親知らずの場合、通常よりも手前の歯との隙間が多くなりやすいです。
そうなると歯磨きが難しくなります。様々な角度からブラシを入れなければならず、磨き残しが出やすくなってしまうでしょう。
こうしてプラークが溜まっていくと、虫歯や歯周病になってしまいます。放置していれば、最悪の場合その手前の歯も抜歯しなければならなくなるかもしれません。
早めに対処することが非常に大切です。
親知らずの歯磨き方法
歯磨きのときには、少し磨き方を工夫しないと奥のほうに生えている親知らずをしっかり磨くことは難しいでしょう。奥のほうまでブラシを入れやすくするためには、ヘッド部分が薄くて小さいものを選びます。
歯ブラシを奥のほうに入れるときは頬の力を抜いたほうが頬を引っぱりやすくなり、斜めの角度からでも歯ブラシをお口の中に入れやすくなります。
この歯ブラシで親知らずも含めすべての歯を磨いたあとは、タフトブラシで親知らずだけを仕上げ磨きしましょう。タフトブラシとは毛の部分は小さく、先端にいくにつれて細くなっている歯ブラシです。
このタフトブラシをペングリップ方式で持ち、歯の並びに対して斜め45度の角度で、ブラシの毛先がしっかり親知らずに当たるように入れます。
そして、親知らずの噛む面・一つ手前の歯との境目・親知らずの奥側の面に毛先が当たるようにして小刻みに動かします。
しかし、もし斜めに生えている親知らずであるならば、一つ手前の歯との隙間に汚れが溜まりやすくなってしまうでしょう。
そうした場合は、普通の歯ブラシやタフトブラシだけでは毛先がその隙間の中にまで届きません。
そういったときに使えるのがY字フロスです。
Y字フロスは糸状タイプの指にくくりつけるものとは違い、持ち手があるため奥の歯にも差しこみやすい・片手で使えるので手鏡を見ながら使いやすいというメリットがあります。フロスを手前の歯との間に差しこみ前後に動かすことで、隙間の汚れをかきだすことができるのです。
いつもの歯磨きに比べて手間も時間も多くかかってしまうかもしれませんが、たとえ抜歯をすることが決まっている親知らずであろうとも他の歯や歯ぐきへの悪影響を及ぼさないように、抜歯当日まではしっかりケアしてあげることが大切です。